強加工による金属間化合物の非晶質化
通常の金属は原子が規則的に配列している(結晶)のに対し、非晶質金属はそれらが無秩序に並んだ構造をしています(図1)。そのため、通常の金属材料にはみられない、高強度、耐食性などを有することが知られています。このような、非晶質合金を作成する一般的な方法として、液体状態(原子が無秩序に並んだ状態)から原子が規則的に配列する時間を与えずに急冷する方法があります。


図1 通常の金属(左)と非晶質合金の原子配列(右)

上記の方法と異なり、金属に加工を加え、原子が規則的に並んだ状態を乱してやることでも非晶質合金を得ることができます。当研究室では、この強加工法を用い非晶質合金の作成を行っています。加工方法としては、冷間圧延(回転する2つのロールの間に板材を通し、その厚さを減少させる方法)とショットピーニング(鋼球などを高速で金属表面に連続的に当て表面を加工する方法)を用い、試料にはTi-Ni, Zr-Co-Ni合金の2種類を用いました。図2に冷間圧延で得られたTi49.8Ni50.2, Zr50Co37Ni13合金の電子顕微鏡像(TEM)を示します。いずれの像にも中央部にコントラストの低い部分が観察でき、この部分が非晶質となっています。また、右上に示した電子線回折図形(SADP)がハロー(SADPが幅を持ったリングになっていること。結晶状態だと線状のリングになる)となっていることからもわかります。


図2(a) Ti49.8Ni50.2合金(b) Zr50Co37Ni13合金の冷間圧延で得られた非晶質相


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